肝斑
肝斑とは
肝斑とは、30歳以降の女性に好発する、いわゆる「しみ」のひとつです。典型的には、左右対称性に、両頬に逆三角形の茶色い皮斑が生じます。炎症を伴うので、よく見ると少し赤みを帯びています。
原因は、まだ完全には解明されていませんが、紫外線、皮膚の擦りすぎなどの刺激が関わっていると考えられています。
症状には波があり、数カ月単位で良くなったり、悪くなったりを繰り返します。紫外線が増悪因子ですので、夏季には症状が悪化します。
肝斑の治療
肝斑は、慢性の刺激によって生じる色素沈着症という側面がありますので、もっとも大切な治療は日常生活でのケアになります。具体的には、①遮光を徹底すること、②肌を刺激しない生活(擦らないなど)をすることの2点が大切です。それをしていただいた上で、お薬による治療を行います。
有効性が認められているものとして、トラネキサム酸の内服、ハイドロキノン・トレチノインの外用があります。
特に、トラネキサム酸は有効性が高く、最近では世界的にもその効果が認知されてきています。トラネキサム酸は副作用もほとんどないため、当院では第一選択の治療法として推奨しております。
なお、ハイドロキンやトレチノインといった外用薬を使用する場合は、その刺激によって炎症が増強してしまう場合もありますので、使用には注意が必要です。
その他、ビタミンCの内服が有効だとする報告もありますが、エビデンスレベルは高くなく、その効果ははっきりしていません。
肝斑は、再発を繰り返す疾患ですので、一度きれいになっても、日常のケアを怠ると必ず再発します。まずは、上記3つ(①遮光の徹底、②肌を刺激しない生活、③トラネキサム酸の内服)を2か月ほど続けてみてください。多くの方では、かなりの改善がみられると思います。トラネキサム酸については、改善した段階で一旦終了してみてもよいですが、再発予防のため①遮光の徹底、②肌を刺激しない生活の2つは続けるようにしてください。再び肝斑が目立ってきた際は、トラネキサム酸の内服再開をお勧めします。
トラネキサム酸
当院ではなるべく安価にご提供するため、ジェネリック医薬品でご提供しております。診察は無料で行っておりますので、ご負担いただく費用はお薬代のみとなります。
トラネキサム酸1500mg/日 (1日3回内服、1回500mg) |
30日分(90錠) |
内服に関する注意事項
- 血栓による病気のある方、ピル内服中の方、妊娠中もしくはその可能性のある方は、トラネキサム酸の内服はできませんので予めご了承ください。
- 他の医療機関にかかる際は、トラネキサム酸の内服をしていることをお伝えください。
レーザートーニングについて(参考情報)
なお、肝斑に対してレーザートーニングが有効であるとする報告もありますが、エビデンスレベルは高くありません。レーザーで治療した直後は、一旦色調が薄くなり効果があるように感じられますが、治療後1か月を過ぎたあたりから、薄くなった肝斑は再発して、むしろ濃くなる場合が多いようです。肝斑は、皮膚に炎症がおこっていることがひとつの大きな原因になりますので、さらに皮膚に炎症を起こさせるような治療方法は当院ではお勧めしておりません。ただし、総合的な美容施術の一環として行うクリニックもありますので、レーザートーニングを検討している方は、ご担当の医師とよく相談した上で、施術するか決めるとよいかと思います。
「遮光の徹底」については、サンスクリーン剤の外用が効果的です。ご興味のある方は、「紫外線ケア」ページをご覧ください。