メトホルミン内服
お知らせ
オンライン診療について
ご要望が多いため、メトホルミンのオンライン診療を開始いたしました。
オンライン診療によって、近隣の患者さんだけでなく、遠方にお住まいの方もメトホルミンを購入できます。お薬は郵送にてお届けいたします。
詳しくは、オンライン診療 ページをご覧ください。
メトホルミンについて
メトホルミンは、糖尿病患者さんに広く処方されているお薬ですが、健康寿命を延ばす効果が示されたことから、現在多くの臨床研究が進められています。
話題となったきっかけは、『LIFE SPAN -老いなき世界-』という書籍です。著者のデビット・A・シンクレアは、老化の原因と若返り研究の世界的第一人者で、ハーバード大学で教授を務め、「世界で最も影響力のある100人」にも選出された研究者です。
メトホルミンは、ヨーロッパで何世紀ものあいだ薬草として使われてきたフレンチ・ライラックという植物由来の分子です。効果と安全性がとても高いお薬として、「世界保健機関(WHO)必須医薬品モデルリスト」にも掲載されており、全世界的に2型糖尿病治療の第一選択薬になっています。
そのようなメトホルミンが、長寿薬としても注目されたきっかけは、メトホルミンを内服している糖尿病の患者さんが、そうでない患者さんに比べて、際立って健康状態が良かったことが観察されたからです。それを裏づけるように、アメリカの国立衛生研究所がおこなった研究では、メトホルミン投与でマウスの寿命が6%延びることが示されました。
健康寿命を延ばす一般的な方法として、食事摂取カロリーを制限することが挙げられます。皆さんも、食べ過ぎは体に良くないことをよくご存じかと思います。メトホルミンを摂取した場合、そのカロリー制限に似た効果が現れます。具体的には、ミトコンドリアにおける代謝反応の抑制、ミトコンドリアの機能回復、癌細胞の代謝抑制、寿命を調節する酵素であるSIRT1の活性化、NAD濃度の上昇などです(なお、メトホルミンと同様に話題となっているNMNサプリメントも、NAD濃度を上昇させるNAD増強分子です)。専門的なことを深く理解する必要はないかと思いますが、一言でいうとこれらすべてが老化への防御機構として働くということです。41,000人を9年間追跡した研究では、認知症のリスクが4%、うつ病が16%、心血管系疾患が19%、虚弱が24%減少することが示されました。また、25件ほどの研究において、がんの発生率がときに40%下がることが示されています。
現在アメリカでは、3,000人を対象とした「メトホルミンによる老化の標的化(TAME)」という大規模研究が進んでおり、老化の治療薬としてメトホルミンを認可させようという動きがあります。日本においては、そもそも老化を病気とはとらえていないため、保険診療での処方は今後も難しい面があるように思います。当院では、保険適用外にはなりますが、エイジングケアの一環として、自費診療(自由診療)にてメトホルミンの処方を行う方針としています。
なお、メトホルミンには体重減少効果もあるため、ダイエット薬としてメトホルミンを処方している美容クリニックもあります。体重減少の程度は各研究結果によって様々ですが、おおよそ3~6か月で1~6kg程度です。
メトホルミンの処方について
(以下は、クリニックにご来院いただいた場合です。オンライン診療の費用については別ページをご覧ください)
当院では、高品質で信頼性の高い先発品「メトグルコ錠®」を採用しております。用量は、著者のデビット・A・シンクレア本人が摂取している量と同量の1g(1日あたり)としています。
診察は無料で行っておりますので、ご負担いただく費用はお薬代のみとなります。
メトホルミンは、インスリンの分泌を促進させないため、急激な低血糖のリスクが低く、安全性の高いお薬です。ただし、軽度の副作用として、約4割の高頻度で一時的な下痢症状が生じます。当院では、その予防策として整腸剤を併せて処方しております。ビオフェルミン製薬の行った研究では、ビフィズス菌が、メトホルミン投与によって起こる腸内フローラの変化を抑制することで、下痢を改善させたとの報告があります(ただし必ず下痢を予防できるとは限りません)。整腸剤は、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えますので、それ自体が生活習慣病や体調の改善にも役立ち、一石二鳥のお薬といえます。
(セット内服) ●メトホルミン錠1000mg (1日2回内服、1回500mg) ●ビオスリー錠 2錠 (1日2回内服、1回1錠) |
30日分セット |
(メトホルミン単剤) ●メトホルミン錠1000mg (1日2回内服、1回500mg) |
30日分 |
(メトホルミン単剤) ●メトホルミン錠1500mg (1日3回内服、1回500mg) |
1.5倍量 |
* 1.5倍量は、メトホルミン1日2回の内服をしばらく継続し副作用のない方のみ処方しております。したがって、初回から申し込みはできません。まずは、1日2回の内服をお試しください。 |
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その他の副作用について
その他の副作用として、乳酸アシドーシスという重篤な症状が起きるおそれもありますが、きわめてまれです。また、CT検査等におけるヨード造影剤の使用時に注意が必要なことや、他のお薬との相性の問題がありますので、他院を受診する際は、メトホルミンを内服中であることをお伝えいただきますようお願いいたします。
また、菜食主義(ベジタリアン)の方などはビタミンB12欠乏症を発症することがあります。メトホルミンを内服する際は、ビタミンB12を含む動物性食品(魚介類、肉類、卵類、乳類等)をきちんと摂取するようにしてください。
同意書について
初回処方時は、同意書への署名が必要です。基礎疾患などにより処方できない場合がありますので、事前に「同意書(PDF)」の内容をご確認ください。
参考文献
『LIFE SPAN -老いなき世界-』デビッド・A・シンクレア著
この書籍は500ページ近くある分厚い本で、内容的にも専門用語が多く、一般の方には少し読みづらいかもしれません。YouTubeの本解説動画(中田敦彦のYouTube大学など)でとても分かりやすく解説されていますので、興味のある方はまずはそちらをご覧になって、大筋を理解すると読みやすくなるかもしれません。
NMNサプリメントについて(参考情報)
参考情報として、著者のデビット・A・シンクレアが自ら内服するサプリメントを選ぶ際の基準を、著書から転記しておきます。サプリメントの購入をご検討している方は、参考になるかもしれません。
- 評判のいい大手メーカーであること。
- できるだけ純度の高い分子(目安は98%超)であること。
- ラベルに「GMP」の文字が記載されていること。
これは、アメリカ食品医薬品局(FDA)の定める「優良製造規則」に則った商品という意味です。
また、NMNが金額的に購入しづらい方の中には、体内でNMNに変換される物質であり、NMNより価格の安い NR(ニコチンアミドリボシド)を摂取する人もいるようです。ナイアシンやニコチンアミドはさらに安価ですが、NMNやNRほどNAD濃度を上昇させる効果はないようです。
なお、著者の摂取しているサプリメントの量は、1日あたり1gです。
その他、メトホルミンに関するニュース
・2型糖尿病を伴う脳小血管病に対するメトホルミンによる神経保護効果 -機能予後改善治療として期待-(新潟大学脳研究所より)
・糖尿病治療薬メトホルミン、抗がん効果の研究報告相次ぐ 東京大学特任教授 中川恵一(日本経済新聞より)
・肝斑にメトホルミン外用が有効かつ安全(メディカルトリビューンより)
・糖尿病薬「メトホルミン」が細い⾎管が障害される脳梗塞のリスクを減少 肥満のある人の体重管理にも有用(糖尿病ネットワークより)
・糖尿病患者のメトホルミン中止は認知症リスクの上昇と関連 認知症の診断が1.2倍に上昇(糖尿病リソースガイドより)
・糖尿病治療薬のメトホルミンに筋肉の回復を高める作用が 筋肉減少・筋力低下を防ぐことが課題に(糖尿病リソースガイドより)
・糖尿病治療薬のメトホルミンに新型コロナの後遺症を防ぐ効果 発症リスクを最大で63%減少(糖尿病リソースガイドより)