AGA（薄毛）
AGAとは
AGAとは、男性型脱毛症(androgenetic alopecia)のことです。
AGAでは、脱毛が思春期ごろから徐々に進んでいきます。
発症している男性の割合は、20代で10%、30代で20%、40代で30%、50代で40%程度と言われています。
男性型脱毛症は、加齢による変化であるともいえますが、見た目の印象に大きく影響を与えるため、多くの男性を悩ます原因になっています。
脱毛の特徴としては、主に額の生え際と頭頂部の髪の毛が薄くなっていきます。
原因としては、遺伝によるものと男性ホルモンが関与しています。
毛包には男性ホルモン受容体が存在していますが、特に前頭部と頭頂部ではⅡ型5α-還元酵素の働きにより男性ホルモンのテストステロンが、活性の高いジヒドロテストステロン（DHT）に変換されます。
DHTの結合した毛包は毛母細胞の増殖が抑制され、成長期が短縮することで脱毛が進行します。
治療について
AGAの治療法は、民間療法を含め、様々なものが巷に溢れていますが、十分な科学的エビデンスのある治療法は、実は限られています。
治療効果が科学的に証明され、脱毛症ガイドラインにおいて推奨度A（最高評価）とされている治療法は、今のところ３種類しかありません。
具体的には、①フィナステリド内服、②デュタステリド内服、③ミノキシジル外用の３種類になります。
当院での治療について
当院では、デュタステリドのみ取り扱っております。フィナステリドはお取り扱いを終了いたしました。
できるだけ安価にご提供するため、ジェネリック医薬品でご提供しております。診察は無料で行っておりますので、ご負担いただく費用はお薬代のみとなります。
通常、効果が確認できるまで6カ月程度かかります。また、効果を持続させるためには継続的に内服することが必要です。
| (参考) フィナステリド1mg （プロペシア®） |
デュタステリド0.5mg （ザガーロ®） |
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|---|---|---|
| 効き目 | ★★ | ★★★ |
| 用法 | 1日1回 | 1日1回 |
| 価格 | 取扱い終了 | 5,600円（税込） 30錠（30日分） |
| 写真 |  |
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デュタステリドについて
デュタステリドは、Ⅰ型、Ⅱ型両方の５α-還元酵素に対する阻害剤です。
Ⅱ型５α-還元酵素についても、フィナステリドと比較して阻害活性が高いです。
1日1回、0.5mgを内服します。
こちらもさまざまな臨床試験が行われており、917名を対象としたランダム化比較試験において、全毛髪数と毛直径の増加については、フィナステリドよりデュタステリドのほうが優れた効果を示しています。
別の研究では、デュタステリド0.1mgがフィナステリド1mgとほぼ同様、デュタステリド0.5mgはフィナステリド1mgに有意に優れるとされています。
副作用について
時に気にされる副作用として、性機能障害（リビドー減少、インポテンツ、射精障害など）がありますが、臨床試験ではプラセボと比較して大きな差はみられていません。
フィナステリドとデュタステリドを比較しても大差はありません。
この副作用は、どちらかというとノセボ効果によるものだと考えられています。
ノセボ効果というのは、性機能障害が起こるかもしれないと事前にしっかりと説明されるため、内服を開始すると心理的に障害があるように感じてしまう現象のことです。
一部の方に生じた副作用も、投与を終了すれば回復します。
また、肝機能障害を来す可能性もありますが頻度は低く、全般的に副作用の頻度の低いお薬だと言えます。
診察時に、肝機能障害の有無、現在治療中の病気があるか医師にお伝えください。
なお、前立腺がんのマーカーである血清PSA濃度が50%ほど低下するため、前立腺がん診断の目的で血清PSAを測定する場合は、2倍した値を目安として評価する必要があります（お薬の内服によって、前立腺癌のリスクが上昇するわけではありません）。
このお薬は男性専用ですので、女性の方は内服できません。また、20歳未満の方も、安全性が確立していないため内服できません。
同意書について
初回処方時は、同意書への署名が必要です。基礎疾患などにより処方できない場合がありますので、事前に「同意書（PDF）」の内容をご確認ください。
ミノキシジルについて（参考情報）
なお、ミノキシジルの外用についても簡単に解説させていただきます。
フィナステリド内服と比較した試験では、フィナステリドのほうが改善の割合が高く、優れていることが示されていますが、内服とミノキシジル外用の併用することで相乗効果は期待できます。
ミノキシジル外用薬は薬局などで購入することができます。内服薬と同じように、効果が確認できるまで、通常6カ月程度かかります。
また、ミノキシジル外用薬は、内服薬と異なり、女性の脱毛にも有効であることが臨床試験で示されています。
参考文献：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン。日本皮膚科学会